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感想 magma solo exhibition "REVAIVALUE"

 

magma solo exhibition "REVAIVALUE" 

 

会 期:2021年11月6日(土) - 12月5日(日)

時 間:12時-19時

休 廊:月火

場 所:VOILLD

展覧会URL:

https://www.voilld.com/post/665897669978406912/magma2021

 


 

マグマは杉山純さんと宮澤謙一さんによるアーティストユニットです。2007年より活動をスタートし、廃材、樹脂、電気器具などを組み合わせた、ポップな色使いが特徴の立体作品を多く発表しています。

 

本展のタイトルは「REVAIVALUE(リバイバリュー)」。

 


 

会場に入って一番初めに目に留まったのはアンディ・ウォーホルの「キャンベルのスープ缶」、のオマージュ。アプロプリエーションというのが正しいのでしょうか?丸太でできています。この時点で他の作品にも目を向けて、元ネタを当てたい衝動に駆られました。

 

これは、ピート・モンドリアンの「ブロードウェイ・ブギ・ウギ」ですね。


 

これは、、、?


 ロイ・リキテンシュタインのスカルプチャー「ランプ」です。本当に明かりがついています。

 

目を引くこちらの作品は、、、ジュゼッペ・アルチンボルド、でよいのだろうな、と思いつつ、世界で一番有名なあのマウスでしょうか?


 

そしてこのキメラたち、、、




 

すみません、元ネタわかりません。ですがどこかで見たことのあるキャラクターの暗喩のような?

 

これだけの異素材を組み合わせても、一個体としてのバランスが取れているのって、改めて考えたらすごいです。

 

この小品群、めっちゃ好き。

 

世界で最も有名なビーグル犬。

 

ニッパーくん。


 

みんな大好きキティさん。

 

商売繁盛、招き猫さん。


 

元ネタはわかりましたが何か意味があるのか、惹かれるゆえに気になって、ギャラリーのスタッフさんに伺ってしまいました。

 

このシリーズはキュビズムを立体で再現しようとした、とのことです。

それを聞いて改めてその形をみると「あー、ピカソ描きそう(知り合いか)」と納得してしまいました。

 

キュビズムは、複数の視点から見たイメージを一枚の絵に集約した結果なので、立体→平面ということだとすると、こちらはそれをまた立体に戻したということでしょうか。立体→平面→立体ですね。

 

 

現代ではインターネットの普及により情報伝達が速くなった影響で、技術面などの進歩が加速し、時代が目まぐるしく変化しているのだそうです。以前は10年かかる変化が5年とか、それよりもっと早く訪れてしまう。そう言われれば、インスタグラムも使いこなせていないまま、TikTokは未経験、Clubhouseは招待されずじまいで話題から消えました。

 

そのような早い時代の変化の中で、文化面では、オマージュやアプロプリエーションは、どれだけ昔のものなら許されるのか。経った年月ではなく、元ネタが一定数の鑑賞者に理解されている知名度の問題か。美術において、引用という手法を用いる場合には理由があって、すでに社会通念として浸透してしまった文化や物事の見方を、鑑賞者に批判対象として意識してもらう意図があります。ゆえにフェミニズム運動とも親和性が高く、シンディ・シャーマンの作品などがこの文脈に当てはまります。

 

しかしながら、本展のマグマさんの引用には元ネタの作品や技法への批判はなく愛が感じられます。

 

「REVAIVALUE(リバイバリュー)」= REVAIVAL + VALUE

REVAIVAL = 一度、顧みられなくなったものが、また見直されること。

VALUE = 高く評価する。

 

現代に再登場した名作たちを観ると、すでに知っている文脈であっても心に訴えるところがあり、純粋にすごいな、と思います。引用しながらも、新たに惹きつけるものとして作品を現代に蘇らせたマグマさんの手腕はさすがです。一つ一つの素材、形、色の選び方がドンピシャで、なんだか元気になるような明るさに満ちています。アートの力を感じに、ぜひ足を運んでみてください。

 

 

展示風景画像:magma solo exhibition "REVAIVALUE" 


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