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武田優作 個展 「間 -あわい-」
会 期:2022年3月14日(月) - 2022年4月1日(金)
時 間:11:30-18:30
休 廊:日祝
場 所:ギャラリー上田
展覧会URL:
https://gallery-ueda.com/武田-優作展/
果物や器が必要最低限の色彩で描かれています。静物画は「動かないもの=静物」を描いたものという意味ですが、画面からは「静」の字のごとく、心地よい静けさ、澄んだ空気が漂ってくるようです。
武田優作さんは1989年生まれ、横浜国立大学教育人間科学部卒業、同大学院教育学研究科修了。2014年より作品を発表されていますが、2020年のギャラリー上田での展示から売約率も上がり、2021年月刊アートコレクターズ「完売作家全データ2021」に掲載、2022年には月刊美術主催の「美術新人賞デビュー」で入選されています。
「水無月の雫」
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「朽ちた木と陶器の静物」
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左:「赤ブドウ」右:「白ブドウ」
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「青色の水差し」
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昨今の作家さんで、日本の現代アートの潮流に飲み込まれず、静物画を描いている、ということに芯を感じました。私が思う日本の現代アートの潮流とは、村上隆さんのスーパーフラットから始まるアニメーション的表現ですが、武田さんの静物画には、ポップさや派手さ、アニメ的表現は見られないものの、西洋の油絵とは違った平面的な物の捉え方が感じられて、スーパーフラットであり、日本人の民族的表現そのものであると言えると思います。
この描画表現は、油彩とテンペラ技法の混合で生まれるそうです。テンペラ技法とは油彩が登場する15世紀以前に主流だった技法で、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」などがテンペラ技法で描かれています。濃厚さを感じる油彩の画面より、繊細で少し平面的な表現が特徴です。細かい部分も描きたい、と言う武田さんの作品の支持体はパネルや綿布、テンペラ技法には兎膠を用いているそうです。描き始める前の下地作り、滑らかな描画面を作ることに多くの時間を費やしています。
「デザートグラス」
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「カスミソウ」
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「苺とゴブレットの静物」
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苺の赤とモノクロームのようなその他の無機物。武田さんのツイートによれば、こちらの作品は搬入が終わった後に持ち帰り加筆。納得がいくまで「最後まで粘りたい。」「続きをやってよかった。」と綴られています。
「紫陽花とゴブレットの静物」
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以前の作品はもう少し濃淡がはっきりしたものであったと言う武田さん。色味を抑えた新作では、自分を抑えることでモチーフがより出てくる、ということをおっしゃっていました。その狙い通り、新しい作品群は、本展のタイトル「間 -あわい-」とあるように、物と物との間、空間に存在する微かな揺らぎ、そういったものを感じられるものでした。
濃淡の表現がはっきりしている作品群。見比べてみると興味深いです。
「ヴェッキオ橋」
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「歯車」
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「煙突」
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武田さんは、飾りやすく生活に馴染みやすい作品ということも視野に入れられていて、モノクロの作品や額装済みの作品もありました。また本展より、季節の花を描いた作品を、マグネットで付け替えられる小品シリーズ「10×10 -テンバイテン-」も販売されています。
「ブリキ箱に紫陽花」
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「薔薇」
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「ノート」
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「10×10 -テンバイテン- カンパニュラ」
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マグネット着脱式。季節に合わせて付け替えるという発想は、床の間に季節の花を飾る、というような日本らしい発想かもしれません。コレクションの楽しみも増えますね。なかなか素敵なアイデアです!
「10×10 -テンバイテン- 杜若」
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「10×10 -テンバイテン- 梅」
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「10×10 -テンバイテン- 青い陶器に薔薇」
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時間をかけた下地作りや繊細な表現、伝統的な技法、また、在廊されていた武田さんの雰囲気からも、これらの静物画は、アニメ的表現や最新鋭の技術を駆使した表現への戦略的な対抗から生まれたのではなく、自身が好きな表現だから追求している、というのが伝わってきました。だからこそか、古臭い静物画というイメージはなく、現代的なインテリアとの親和性のある、新しい表現に感じました。
「間 -あわい-」という空気感はPCの画面からは伝わりにくいです。ぜひ実物を体感しに足を運んでみてください。
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