南谷理加 個展「WONDERLAND Ⅲ」
会 期:2021年11月27日(土) - 12月12日(日)
時 間:12時-19時
休 廊:月火
場 所:Bambinart Gallery
展覧会URL:
http://www.bambinart.jp/exhibitions/20211127_exhibition.html
先日、レビュー自体への評価の必要性を訴える発言をSNSで拝見しまして、意図としては、伝播力のあるメディアを対象とした、レビューの権威化への警鐘と受け取りましたが、拙文をレビューと称しUPしている私としましては「ひえー」と恐れ慄くとともに、日々勉強せねばと身の引き締まる思いを抱きました。
なぜこんなことを言うかといいますと、南谷理加さんの個展をレビューするにあたって、説明できない魅力を携えた「考えるな感じろ」的な作品を前に、私の現在の能力では到底、画像付き感想文の域を出ないものしか書けないとはじめから分かっているからです。SNSで過去の展示作品を見て、描かれているものは「犬」とか「人」とか言える程度に具象化されているにもかかわらず、作品全体の持つ抽象性と、画面構成の完璧さに驚きました。本展をぜひ見たいと初日に伺った後、次の日に作品を求めに再訪しました。要は「何だかよく分かんないんだけど良い」ってことです。
今回は、各作品画像と、どこに魅力を感じるかの構成でお送りします。レビューになっていないと思いますが、お付き合いいただけますと幸いです。
「Untitled #0122」
「Untitled #0122」(部分拡大)
画面のほぼ中央に幹で区切られた異空間。
「Untitled #0122」(部分拡大)
曲のタイトルとアーティスト名、または映画のクレジット?この文字があるとないでは画面が違ってくる。
「Untitled #0101」
「Untitled #0101」(部分拡大)
薄くベールがかかったレイヤーより一層上のブルーの幕?が効いている。片目も前面にあるようだが、強烈さや不気味さがない。
「Untitled #0182」
「Untitled #0182」(部分拡大)
画面の大部分を占める黒。ボールを蹴っているような人物。これが主役?
「Untitled #0182」(部分拡大)
引っ掻いて描いたような薄い線。この人物はどこに位置しているのか。
「Untitled #0090」
「Untitled #0090」(部分拡大)
間違いなく効果的な3つの点。色と配列が絶妙。
「Untitled #0090」(部分拡大)
左下の透けた車もいい。ないとダメ。
「Untitled #0170」
「Untitled #0170」(部分拡大)
手紙を鳥が運んできたのか?蜘蛛の巣にかかり届かない。または手紙の影で暖をとっているのか。鳥は絵か。背景の勢いのある筆の運びをずっと見ていられる。
「Untitled #0177」
「Untitled #0177」(部分拡大)
めちゃくちゃサラッと描いている犬。たなびいている。人間の表情というか遠くを見ているというか。トレンチコート似合いそう感。
「Untitled #0109」
「Untitled #0109」(部分拡大)
波。いい。
「Untitled #0109」(部分拡大)
何。いい。
「Untitled #0100」
「Untitled #0100」(部分拡大)
虹?
「Untitled #0100」(部分拡大)
万?
グラフィティっぽいし、アニメっぽいところが珍しい。
「Untitled #0113」
「Untitled #0113」(部分拡大)
風の動きが見える。
「Untitled #0113」(部分拡大)
このギターが効いている。
「Untitled #0107」
「Untitled #0107」(部分拡大)
この画面を絵画として成立させるとは。難易度高い。単純な情報しかないように見えて、画面の表情の複雑さに見入ってしまう。
「Untitled #0116」
「Untitled #0116」(部分拡大)
ぐるん。
奥の画面をこれで終わらせているところのセンス。
「Untitled #0111」
「Untitled #0111」(部分拡大)
妖精と葉っぱ?分からないけど、ないとダメ。
「Untitled #0178」
「Untitled #0178」(部分拡大)
顔はほぼ黒い。けれど不気味さはあまり感じない。鼻がチェック柄の上に出ているが、そこがいい。
「Untitled #0091」
「Untitled #0091」(部分拡大)
色のバランスが綺麗。本から外に出た部分が気になる。
「作品を見て、作者が誰か分かる絵は多いが南谷さんはそうではない」とBambinart Galleryの米山さんはおっしゃっていました。確かにその通りでそこが魅力と思います。一方で、そこにある筆跡、油絵にもかかわらずおつゆ描きのようなサラッとした筆使い、どこかバグが発生してしまった白昼夢のような世界観に南谷さんの強烈な個性があるとも感じています。現在は杉戸洋さんのゼミに在籍しているという南谷さん。今後どう作品が進化するのか、楽しみに追っていきたい作家さんです。どれだけサラッと描いているか作品の表面も観に、ぜひ足を運んでみてください。
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