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増田恵助 個展「portrait of」
会 期:2021年10月23日(土) - 11月7日(日)
時 間:12時-19時(最終日17時終了)
休 廊:月火水
展覧会URL:
http://lighthouse-tokyo.net/keisukemasda.html
増田さんのステートメント「構成の肖像画」を読むまでは、これらの絵には実際のモデルがいて、その子はバンドが好きな女の子であるものと思っていました。
それが架空のものとは。
以前は友人などにモデルをお願いしていたそうですが、今回の個展の作品はPC上で組み合わせたものを描いたそうです。
平面構成として組み合わせた肖像画については上記リンク先のステートメントに詳しく記されているのでここでは省きますが、血の通った若い女性の生き生きとした描写は鑑賞者の心を捕らえて離さないのではないでしょうか?いや、私の心が盗まれました。ルパンか?
幸運なことに在廊されていたご本人にお話しを伺うことができました。
もとは紋中紋(もんちゅうもん)に通じる、絵の中に絵があるという作品を描いていたという増田さん。紋中紋とは美術用語で、あるモチーフの中に同じようなモチーフが入れ子構造で入っている表現のことを言います。
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こちらの作品も絵の中にキャンバスで描かれた絵があります。
絵の中の絵という題材は他の多くのアーティスト作品にも見られたため、独自の紋中紋として、アートワークが使用されているバンドTシャツを着ている人物を描くことを思いついたと言います。
これも全部、作品の中に作品、ですね。そう考えるとおもしろい。
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Blurがお好き。
忘れがちですが、Tシャツのプリント部分やスカーフ、または服そのものも誰かの作品であるわけで、それらを纏った人物の肖像画は作品の中に作品を描いていると言えます。
増田さんはファッションデザイナーJulien Davidさんの2021年6月Pop Up Shopのフライヤー用に作品を制作しています。自身が描く人物が纏っているものが別のアーティストの作品であることに、より敏感だったのではないでしょうか?
作中で目を引くアクセサリーはなんと自身がデザインして発注したもの。近年のGUCCIのLOOKに大粒のネックレスが採用され、それを表現したかったそうですが、実物をそのまま描くと権利上の問題も不明瞭なので自作されたとのこと。注文して届いたそのアクセサリーが予想外に透明なもので、透けた時の光の反射を忠実に描くために、ボディに見立てていた立体を肌色に塗り直す等、実在しないモデルとはいえ限りなく実写に近いのはそのような過程があってのこと。
実写に近づけば近づくほど、「現代」アートらしさから遠のいてどこか古臭い表現となってしまうことがあります。美人画や肖像画が古くから描かれていたことによる刷り込み現象と思いますが、それでも美しい人を観たい!作家も描きたい!
増田さんの描く美しい肖像画は、緻密に練られた平面構成で見事に「現代」アートとなった作品であると言えます。
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「美しい」が表現できるのってすごいです。
ぜひ、鑑賞しに足を運んでみてください。
展示風景画像: 増田恵助 個展「portrait of」
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